2016-01-01から1年間の記事一覧

甘えへの喝

取材先の言葉に凍りついた。「資料をちゃんと読んできたのか。サービスを使ってみたのか。それならそんな質問はしないはずだ」。準備不足は明らかだった。「こちらは時間を割いている」。席を立つ背に頭を下げるしかなかった。 読者の代わりに尋ね、伝える。…

思い返す夏

2005年の夏は暑かった。小泉純一郎首相が仕掛けた郵政解散で降ってわいたような総選挙。私は佐賀県じゅうを取材で右往左往していた。 印象に残っているフレーズがある。佐賀駅前の選挙演説だった。「民営化で流れ出す350兆円の郵便貯金がこの佐賀にも…

運転なんかしたくない

車の運転が苦手だ。それなのに、地方で取材していた5年間は不可避だった。あちこちぶつけるのは日常茶飯事、「人に危害を加えてしまうような事故を起こしませんように」と毎日、神様に祈った。東京に来る前に車を手放すと、肩の荷が下りた心持ちがした。交…

実感を話すということ

とっても久しぶりの投稿です。 あぁ綴りたいなぁということは日々あぶくのように現れては消えていくけれど、ようやく書く時は現実逃避気味という情けなさ。 誰も彼もがSNSをやっている世の中で、さまざまな物事にまつわる実感を聞くことは、それ以前より…

車両工場で目にしたもの

この号の取材でヘルメットを被ること5回。各社の車両工場や研究施設にお邪魔した。説明を聞きながら必死に観察する現場で、目の隅、耳の端に止まったことが印象に残っている。 タイ・バンコク、パープルラインの車両基地でのこと。案内役の総合車両製作所の…