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迷える子羊

「物事にさまざまな側面があるなんて当たり前。雑誌の特集はそれを1つの視点で切り取って作れ」。特集の担当になった時に先輩から言われた。それでも、大事な点が抜け落ちていたのではないかと思うことがある。
 11月2日号「職場のうつ」特集もその1つ。これまで、対処すべき重要な問題との認識が広がってきたが、休職中に遊んでいたりと本当にうつ病なの?と疑問が生じるようなケースが増えていることを中心に、上司や企業の立場からの対応を取り上げた。「俺もうつになりたいよ」という声が編集部でも聞こえるほどで、うつへの見方は変わりつつある。
 ただ、うつ病で「休める」会社だからこそ起こりうること。一方で「そもそもうつ病などと言ったらクビ」という職場や、「休める制度はあるが、うつ病に陥りかねない職場環境」がある。すべて引っくるめて“うつ”へのバッシングに転じてしまう危惧を抱いた。
 ある取材先は「うつに限らず世の中で、特にマスコミが“今はこう言っていた方がいいようだ”と掲げていたことが、“実は違うんじゃないか”となった時が一番怖い。全部流される」と言う。必要なのは要素を切り分けて捉えることなのだが、雑誌では“見出しが立ちにくい”ところが難しい。

(『週刊エコノミスト』2010年11月9日号編集後記)