胸に刻み込まれた言葉

 最初に編集部に来てから、10年がたとうとしている。初期に出会った方々の言葉は、今も胸に刻み込まれている。
 問いを立てることの大切さを教えてくれたのは、日本株ストラテジストの北野一さん。これは後に、経済学者の浜矩子先生にもたたき込まれた。
 データを触ることで変化を感じ取れると教えてくれたのは、レアメタル専門家の中村繁夫さん。専門商社の社長になってからも、気になる鉱物の価格は自分でグラフ化するという。
 そして、グラフを扱う時には、本誌「独眼経眼」で今も執筆するエコノミストの藻谷俊介さんの教えを思い返す。前年比など変化率に惑わされず絶対値の動きを捉えること、軸のとり方で印象が変わること。恣意(しい)的にならず、かつ分かりやすいグラフを意識するようになった。
 経済動向をテーマにしながら、物事に向き合う姿勢を教えていただいてきた。

 

(『週刊エコノミスト』2018年6月5日号 編集後記)