12.電車でトラムでバスでGO

とにかく移動が多かった今回の旅、さまざまな(公共)交通機関を使いました。クラクフ→ワルシャワは、電車で3時間。6人のコンパートメントで窓際を陣取れた。 あとは中年不機嫌夫婦、ビジネスマン2人連れ。このビジネスマンたち、やおらパソコン(acerとd…

11.釣り銭バトルと芋掘り

その昔、第2外国語でロシア語をとっていた(割に旅行中まったくいいとこ見せてくれなかった)夫によると、ロシア語由来の言葉というのはいくつかある。 KIOSK(キオスク)、イクラ(魚の卵すべて)。あとはノルマなんてのも。KIOSKは、いわずとし…

10.大向こうの掛け声

帰国後1カ月をめどに完結させるべく、ピッチを上げていきます。モスクワ観光では、ボリショイ・バレエが人気だそうですが、先輩がチケットをとってくれたので、生バレエ初体験の贅沢を味わってきました。「一応ちゃんとした格好をした方がいい」と言われ、…

9.安らかに眠れない

かつて経済誌編集部で「葬式・墓」特集を担当した時、先輩が取材した、ある墓地の写真に驚いた。なんでもペットが一緒に埋葬されているらしく、「愛犬と共に永遠に」と大書してある。犬の像がついた墓も。昔ながらの縦長の墓だけじゃなく、横長だったり、も…

8.とんがりビル

今回の旅の二大目的は 1.アウシュビッツ(夫が行ってみたかったからと言うので) 2.モスクワ(夫の先輩が赴任してるのと、夫が学生時代に旅したのと)完全、夫の希望。夫の休みだし。 単なるツアーコンダクターですワタクシ。あとはその周辺を、というこ…

7.十字架の街、変顔の街

まだまだ旅行記続きます。半分もいってない(!)リトアニア・ヴィリニュス、ラトヴィア・リーガ、エストニア・タリン。 バルト三国、とひとまとめにされるけど、3つの国(の首都)はそれぞれ違う顔を持つ。3つの街をまわってみて、分かったこと。 教会の…

6.奇妙な和食

世界中どこにでもあるのは中華料理屋とインド料理屋だという。 スコットランドではカレーが我々を救ってくれた。イギリスに多いのは植民地時代に由来するというが、当地の料理には影響を与えることなくオアシスとして存在したのだろうか・・・(←しつこい)…

5.ギョウザと小籠包

引き続いて、飲み食いの話です。 ・・・中国に行ってきたわけでも、中華料理屋ばかり行ったわけでもないんだけど。正直、食べ物はあまり期待していませんでした。1.6年前のスコットランドでイマイチだった(除くアイラ島)。パブ飯ばかりで言えた義理じゃ…

4.ビール、ビール、ビール

一息ついて、小ネタに転じます。ヨーロッパの街って(というほど知らないけど)、街中に広場があって、周りのお店がテラス席を作っている。目抜き通りとかあちこちでも。 フランスではそこで、エスプレッソかワインがたしなまれていたけれど、ポーランド&バ…

3.広い空と鳥のさえずりと

赤レンガの建物のなかに展示がしてあるアウシュビッツ第一収容所から、バスで5分のところにあるのが第二収容所ビルケナウ。のどかな丘をこえていくと線路がみえて、ぱっと門が開けた。 線路は門のなかに吸い込まれていく。そして、収容所のなかをまっすぐ中…

2.想定外の賑わい

旅の主目的だったアウシュビッツの話を書いてしまわないとたぶん落ち着かないので、引き続き長々いきます。アウシュビッツは、ポーランドの京都(・・・古都という意味です)、クラクフから電車/バスで2時間弱のところにある。朝、バスターミナルに行くと、集…

1.イチゴの季節

リトアニアやラトビア・リーガの市場で目についた、というか鼻についたのは、イチゴ。 甘い香りがただよっている。あっちもこっちも、イチゴばかり。 日本では、クリスマスケーキにあわせてハウス栽培するからイチゴの季節は冬のような気がしていたけれど、…

序.歩き続ける旅、考え続ける旅

ポーランドからバルト三国、ロシアまで10日ほど旅してきました。 夫が仕事の担当の変わり目に休みをとったため。盛りだくさんな旅のつれづれが、日常のなかで記憶のかなたに埋もれる前に、 少しずつ書き留めておこうと思います。順番に書いていくと気力が続…

「日本沈没」させない

1月に、編集部の先輩の強い薦めで『日本沈没』(小松左京著)を読了した。地殻変動で日本列島が海中に沈む――。それを予測した研究者らが退避計画を進める物語だ。 東日本を地震と津波の大災害が襲った。かけがえのないものがあまりに多く失われたことと、今…

「いなほ」の旅

1月18日号「コメを食う」特集の取材で昨年12月、秋田〜山形〜新潟とその名も「特急いなほ」で巡った。車窓には刈り取り後の稲の株が並ぶ田んぼが続く。ちょうど今季初の寒波が到来し、秋田は横殴りの雪だった。 秋田県大潟村で生産者の1人に尋ねた。「普段…

迷える子羊

「物事にさまざまな側面があるなんて当たり前。雑誌の特集はそれを1つの視点で切り取って作れ」。特集の担当になった時に先輩から言われた。それでも、大事な点が抜け落ちていたのではないかと思うことがある。 11月2日号「職場のうつ」特集もその1つ。…

子の泣き声が響く時に

同年代の友人達は次々と子を持つようになり、会う時は自宅にお邪魔することが多い。 先日も友人が夕飯の支度をするかたわらで子ども達と遊んでいると、ぐずりだした2歳の女の子がどうにも泣き止まない。彼女が「眠いのね。寝かしつけるわ」とおぶっても激し…

メール>電話?

原稿執筆や取材をお願いするという仕事の性格上、日々、面識のない方に連絡をとる機会が多い。その時にどのような手段を使うのかは、なかなか悩ましい。 社会人になって9年。環境によって違うのかもしれないが、当初は「いきなり電子メールで連絡するのは失…

“つぶやき”の対極に

フレッシュマンが街にあふれる4月。9年前、就職が決まらないまま大学を卒業し、リクルートスーツを着ていたことを思い出す。 前年の秋、父に「家業を手伝ってもいいか」と泣きついた。ほどなく手紙が届いた。家業を継いでからの苦闘と「やりたいことを追い…

山里からの便り

毎日、家に辿り着いてポストを開けるとチラシにダイレクトメールばかりだから、たまに交じる私信はうれしい。先日、かつて勤務していた四国・徳島の山深い地から2通の封書が届いた。どちらの名も平成の大合併で変わったが、以前の村の方がしっくりくる。 1…

物語の力

弊誌はもとより、経済の記事では、主語が「日本は」「米国経済は」と国だったり、企業名だったり、あるいは「GDPが」などと経済指標であったりすることが多い。 当たり前だが、それぞれの主語に意思はない。組織は個々の人間の集まりだし、指標は行動の結…

コウノトリは後から来て

いつのまにか周りの友人に父・母が増えた。31歳既婚。最近はセクハラだとかで、子どもはどうするの?との質問には、同席する人からNGが出るのが常だが、取材で人に根掘り葉掘り尋ねてきて、自身のプライバシー云々は言い難い(はぐらかすことはあるが)…

今の名前で出ています

編集部に入って、同時に「黒崎」の名を使い始めて、もうじき1年になる。 前の職場にいた時に結婚し、何も考えず旧姓(川口)のままでいたが、辞めて迷った。なぜか履歴書は戸籍名でないといけないように思った。働き出す時に改めて考えようと。 だが、採用…

玉虫色とはどんな色

2月3日号の「問答有用」でインタビューした宮本博司さん。国土交通省淀川河川事務所長として住民参加の河川整備を目指し、退職後は淀川水系流域委員会の委員を務める。「自分が正しいと思い込むのは苦しい。なるほどと思ったら修正するほうが、よっぽど自…

笑って泣ける芝居

かつて福岡に住んでいたのに、なぜ観なかったんだろう。昨年、福岡を訪れて初めて観た「かぶりもの劇団『ギンギラ太陽’s』」の舞台に、惹きつけられた。 演劇の題材は福岡の地元ネタばかり。繁華街・天神のデパートたちの栄枯盛衰に、地元の銘菓「ひよ子」…

クリスマスの行列

例年この時期になると思い返すのが、佐賀にいた5年前の12月25日のことだ。 取材中に先方が「こんなところにいていいの?」と奥さんからの携帯メールを見せてくれた。ほどなくして先輩から電話。「大変なことになっている。早く戻って来い!」。 S銀行…

電車ひと模様

この間まで、佐賀、徳島と人口80万人規模の県で記者の仕事をしていた。通勤も取材も移動はクルマ。ラジオが友達だった。 東京では電車の移動が主だ。都会には情報があふれているというが、電車の中も例外ではない。乗客の様子、とりわけ何を読んでいるのか…