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子の泣き声が響く時に

 同年代の友人達は次々と子を持つようになり、会う時は自宅にお邪魔することが多い。
 先日も友人が夕飯の支度をするかたわらで子ども達と遊んでいると、ぐずりだした2歳の女の子がどうにも泣き止まない。彼女が「眠いのね。寝かしつけるわ」とおぶっても激しく泣き続ける。「最近はこうやって泣いていると通報されたりするの」。なんでも同じくらいの子を持つ彼女の友人(通称、ママ友)がそういう目にあったのだという。
 さもありなん、大阪で部屋に放置された幼い子2人が死亡し、母親が逮捕された事件の報道では「同じマンションの住民で子どもが泣いていると児童相談所に通報したのは1人だけだった」と問題視し、事件を防ぐ対策として「積極的な通報」を挙げていた。
 通報するのは善意ゆえだし、SOSかどうか一般の人には判断しがたい。まずは個々が気づいた情報を寄せて、専門家が対応するのがベターなのだろう。にしても「子どもが泣いたら虐待を疑え」というのはやるせない。
 女の子の泣き声は突然止み、母親の背中ですやすやと眠りに落ちていた。幼い命を救うためには、虐待に行き着いた先で発見するだけでなく、その手前で親への救いの手もまた必要かと思う。

(『週刊エコノミスト』2010年8月31日号編集後記)