11月10日 店じまい

また、この季節が巡ってきた。昨年、父の最期の日々に傍にいたことを書き記そうとしたものの、緩和ケア病棟を退院したところでタイムオーバーになってしまった(年末のバタバタ&引っ越しのため)。その後も1歳までには、とか思っていたけれど、なんとなく…

母になってわかった10のこと(7〜番外)

その7.他人の目が気になるお腹にいる頃からだったと思う。やたらと人の目が気になるようになった。いや、人の目ではない。漠然とした、世間の目だ。生まれてきたら加速した。自分は母親として後ろ指を指されるようなことをしていないか。母がやるべきこと…

母になってわかった10のこと(4〜6)

その4.父は加点方式、母は減点方式内祝とともに送る葉書を用意していた時、夫が書き込んだコメントに目が留まった。その無邪気さに、隔たりを感じた最初の時だった。「パパ業がんばってます」。・・・私には「ママ業がんばってます」とはとても書けない。…

母になってわかった10のこと(1〜3)

子どもが生まれて早6ヶ月。子どもをめぐることは書かないようにしようかとも思ったけれど、今までとまったく違う自分の様子に驚くことしきりなので時々で備忘録を書き留めていた。整理して残しておこう。その1.痛いって辛い最初の1カ月半はズタボロだっ…

11月8日 退院

11月6日 木曜 緩和ケア病棟(のようなもの)を退院する入院してすぐは、父は衰弱しきっていたのが落ち着いたため、「入院してよかった」と口にしていたが、3日ほどして回復してくると「いつ出られるかな」などとつぶやくようになっていた。主治医の先生に…

11月6日 いのちのスープ

11月6日 火曜 辰巳芳子レシピの「いのちのスープ」を作ってみる。高機能の介護・病人食に驚きつつも、なんかそうではない方向で、滋味のあるものも口にさせたい・・・という思いが湧く。折しも、ほぼ日で連載中の読み物が料理家・辰巳芳子さんのいのちのス…

11月5日 高栄養飲料

11月5日 月曜 栄養士に高栄養飲料を勧められる。父は入院してからは3食、わずかながらも口にしていた。 全がゆととろみをつけたおかずというメニューで、食べてせいぜい2、3割というところ、あとは私がたいらげていたのだけど。この日、病室を訪れた栄養…

11月3日 iPad mini

11月3日 土曜 兄がiPad miniをプレゼントする。末期と言われて以降、週末のたびに帰省している兄が、発売されたばかりのiPad miniを持ってきた。wifiルーターを枕元のコンセントにさし、病室が無線LAN環境に。いいのかどうかは分からないけれど、勝手に…

11月2日 自己決定 

11月2日 自分の声が響くのが気になると耳鼻科へ。漢方を処方される。原因は痩せて、鼓膜の筋肉が薄くなっているためで、根本的に治すには太るしかないという。そして、症状を和らげるための漢方を出すことも出来ますが、どうしますか?と聞かれる。父はしば…

11月1日 病院選び

11月1日 木曜 父の誕生日なので花かごを持ってゆく。入院して初めて院内を散歩し、富士山を眺める。朝、近所の花屋さんに電話すると、「どこの病院ですか?」と聞かれる。 なんでも病院によっては花の差し入れは不可、だそう。 ぐぐってみると、院内感染の…

10月31日 延命治療

10月31日 水曜 主治医の先生から延命治療をしない方針に同意するよう求められる。夜、いつもより早く店を閉めて病院に来た母と、父の病室を抜け出した私とで、主治医の先生の話を聞く。示されたのは「病状説明と終末期診療の同意書」という書類。 苦痛が少な…

10月30日 緩和ケア

10月30日 火曜 前日は空きがなく特別室に入ったが、緩和ケア病棟(のようなもの)に移る。緩和ケア病棟では、手術や抗がん剤などの治療による回復が望めないがん患者に対し、痛みを取り除くことを主目的に心身両面からケアを提供される。ホスピス、と言った…

10月29日 余命

父との最期の日々を出産の前に綴っておこうと思ったけれど、かないませんでした。産後、子が寝たすきに書き進めていこう。ちょうど1年前の日々なので暦も重なり、去年の今ごろは、と思い巡らすこと多々でもある。 果たして完結するだろか…時系列+項目ごと…

10月22日 立場の逆転

昨年12月に父が他界した。62歳だった。 5年前にガンがわかり、10月に末期と告げられてから2か月後のことだった。病室で、そして自宅で父の傍で過ごした日々を綴っておこう。 時間が経って記憶は少し薄れてしまったけれど、時間が経ったから整理できるとこ…

永遠の楡の木

『週刊エコノミスト』2013年7月16日号の特集「仕組み債残酷物語2」で記事を書きました。冒頭こちら。特集:仕組み債残酷物語2 法廷で食い違う証言 2013年7月16日号 - 世界と日本でいま起きている経済事象の核心をあますことなく伝えます特集のメイ…

男子禁制のおはなし

男子禁制のおはなしといってもエッチ系でもメイクファッションでもなく、布ナプキンです。 1年半ほど前から布ナプキンを使い始めました。 一箱古本市に参加した会場の布ナプキン屋さんで、プリントのかわいさに惹かれた。古本市が終わった後、お店の人に洗…

必殺仕事人、医療を斬る

夫が好きなので毎回鑑賞している必殺仕事人。 日曜にやってた最新作はなかなか面白かった。 時代劇ながら、現代の医療問題に通じる要素が盛り込まれていて。 以下ネタバレ御免。録画してこれから観る方がもしいたらクローズしてください。 1) 江戸の街に辻…

ごはんが出来たよ

仕事でまる一日、先方のお宅にお邪魔していた時のこと。 昼時、話の途中で先方が「あっ銅鑼が鳴った。下に降りよう」という。 1階のダイニングではテーブルが整い、ちょうど奥様がドリアをオーブンから出すところだった。確かに小さな銅鑼(鉄の円盤)がぶ…

キンドルで本を買ってみた

人の家にお邪魔すると、まず本棚を眺めてしまう。悪趣味かな、と思う。 自分の本棚を客人が見るときも、ちょっと緊張する。本棚は頭のなかの履歴のようで。 内田樹センセイに言わせると、積ん読本も含めて、本棚は「こうありたい自分、こう見せたい自分」だ…

亡き祖父のこと

お盆なので、あるいは終戦記念日なので、5月に他界した祖父のことを書こうと思う。・・・と切り出したが、書き終わるまで2カ月が経ってしまった。享年89歳。一緒に住んだのは高校までの18年間だった。振り返ると思い浮かぶのは、お茶の粉だらけになった作業着…

村上春樹と山下達郎に通じるもの

山下達郎のベスト盤「OPUS」を買った。かれこれ5〜6年、日曜の午後はFMで「サンデー・ソングブック」を聴くのを楽しみにしている。夜、さっそくOPUSをかけると、タイトルはぴんとこないのに耳慣れた曲ばかり。伸びやかな声が心地よい。歌詞&解…

読んでくれと祈る声が聞こえる

人生と運命 1作者: ワシーリー・グロスマン,齋藤紘一出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/01/17メディア: 単行本 クリック: 64回この商品を含むブログを見るポーランド〜バルト3国〜モスクワを巡る旅から戻って間もないころ、twitterでたまたま見かけ…

生まれ変わる社

夏の唯一プチ旅は伊勢志摩へ。 近くの近鉄駅から伊勢神宮まで特急で一本という便利さに引かれて。御朱印キップというのを買ったのだが、大阪ー伊勢市ー賢島を往復して4区間特急に乗り、それだけで普通の運賃なら1万円近いところが6000円。さらに伊勢市でバ…

新暦の夏の終わりに

宿題帳の名前のようですが、今年の「夏の友」。ベランダのゴーヤ。 6月下旬に植えてから2ヶ月。仕事部屋の窓をちょうど覆うぐらいまで成長してくれた。小さな実も2つついている。昨年は家が暑すぎて、近所のマクドやモスに避暑していたけれど、今年は扇風機…

ブログを作りました。

ブログを作りました。 と言いながら、今日より前のエントリーがあるのは、以前に書いたものをその時の日付けで入力しているからです。一粒万倍日(この日に種をまくと、一粒の籾(もみ)が豊かな稲穂になり、万倍にも実るという日)の8月31日に公開します。…

徳島でおもわずパシャリ

1泊2日で徳島に行ってきました。取材です。 メインは神山町という山あいの町でした。 詳細はおいおい業務連絡で。道中、おもわずiphoneでパシャリとやったもの。徳島名産、すだちのサイダー。神山の道の駅でGET。ラベルがかわいかったので。酸味ですっきり…

結.課題図書リスト更新

ふぅ、やっと最後まで来た。帰国から1カ月超。やっぱ時間が経つほどに心動かされたインパクトも薄れていくから、書き留めておいてよかった。毎度ダラダラ長文になってしまったけれど、個人的備忘録ということでご容赦ください。旅の続きは、本の世界で考え…

15.綿毛ふわふわ

リトアニアのカウナスで最初に気づいた。公園をふわふわ白い綿みたいのが舞っている。拳より小さいぐらいの大きさ。タンポポの綿毛にしてはでかい。鳥の巣、蜘蛛の巣にしては白い。鳥の羽にしては丸まっている。なんだなんだ?その後、あちこち緑の多いとこ…

14.2つの家

この家に行きたくて、リトアニアのカウナスに立ち寄ることにした。 それは杉原千畝の記念館です。第二次世界大戦初期、リトアニア領事館にいた外交官。ナチスの迫害を逃れるため、日本行きのビザを求めたユダヤ人たちに、本国の指令に背いてビザを発行し、6…

13.雪かきと紙コップ

思えば、出発前から「ロシアってロクでもない国だよなぁ」とぼやいていたのだった。まず、短期間の観光でもビザが必要。 ビザをとるには、入国出国の飛行機や鉄道のバウチャーと、宿泊先ホテルのバウチャーを添えて申請書類を大使館に提出しなければならない…