思い巡らす

街に流れる時間の結晶のような映画「小名木川物語」

映画って今流れている時間を閉じ込めることができるんだなと思った。 「小名木川物語」は、今この街に流れている時間の結晶のような映画。 今だけじゃない。これまで流れてきた時間も、記憶として織り込んでいた。 MOTサテライトといい、街が変わっていく…

最期の日々に

実家の片づけという言葉は2014年の隠れ流行語大賞ではないかと思うほどよく見かけた。その文字を見るたび、そしてガランとした実家の一室に泊まるたび、胸がしめつけられる思いがする。 3年前に祖父が他界すると、父は猛然と遺品を処分した。それに留ま…

永遠の楡の木

『週刊エコノミスト』2013年7月16日号の特集「仕組み債残酷物語2」で記事を書きました。冒頭こちら。特集:仕組み債残酷物語2 法廷で食い違う証言 2013年7月16日号 - 世界と日本でいま起きている経済事象の核心をあますことなく伝えます特集のメイ…

男子禁制のおはなし

男子禁制のおはなしといってもエッチ系でもメイクファッションでもなく、布ナプキンです。 1年半ほど前から布ナプキンを使い始めました。 一箱古本市に参加した会場の布ナプキン屋さんで、プリントのかわいさに惹かれた。古本市が終わった後、お店の人に洗…

必殺仕事人、医療を斬る

夫が好きなので毎回鑑賞している必殺仕事人。 日曜にやってた最新作はなかなか面白かった。 時代劇ながら、現代の医療問題に通じる要素が盛り込まれていて。 以下ネタバレ御免。録画してこれから観る方がもしいたらクローズしてください。 1) 江戸の街に辻…

ごはんが出来たよ

仕事でまる一日、先方のお宅にお邪魔していた時のこと。 昼時、話の途中で先方が「あっ銅鑼が鳴った。下に降りよう」という。 1階のダイニングではテーブルが整い、ちょうど奥様がドリアをオーブンから出すところだった。確かに小さな銅鑼(鉄の円盤)がぶ…

キンドルで本を買ってみた

人の家にお邪魔すると、まず本棚を眺めてしまう。悪趣味かな、と思う。 自分の本棚を客人が見るときも、ちょっと緊張する。本棚は頭のなかの履歴のようで。 内田樹センセイに言わせると、積ん読本も含めて、本棚は「こうありたい自分、こう見せたい自分」だ…

亡き祖父のこと

お盆なので、あるいは終戦記念日なので、5月に他界した祖父のことを書こうと思う。・・・と切り出したが、書き終わるまで2カ月が経ってしまった。享年89歳。一緒に住んだのは高校までの18年間だった。振り返ると思い浮かぶのは、お茶の粉だらけになった作業着…

村上春樹と山下達郎に通じるもの

山下達郎のベスト盤「OPUS」を買った。かれこれ5〜6年、日曜の午後はFMで「サンデー・ソングブック」を聴くのを楽しみにしている。夜、さっそくOPUSをかけると、タイトルはぴんとこないのに耳慣れた曲ばかり。伸びやかな声が心地よい。歌詞&解…

新暦の夏の終わりに

宿題帳の名前のようですが、今年の「夏の友」。ベランダのゴーヤ。 6月下旬に植えてから2ヶ月。仕事部屋の窓をちょうど覆うぐらいまで成長してくれた。小さな実も2つついている。昨年は家が暑すぎて、近所のマクドやモスに避暑していたけれど、今年は扇風機…

「日本沈没」させない

1月に、編集部の先輩の強い薦めで『日本沈没』(小松左京著)を読了した。地殻変動で日本列島が海中に沈む――。それを予測した研究者らが退避計画を進める物語だ。 東日本を地震と津波の大災害が襲った。かけがえのないものがあまりに多く失われたことと、今…

「いなほ」の旅

1月18日号「コメを食う」特集の取材で昨年12月、秋田〜山形〜新潟とその名も「特急いなほ」で巡った。車窓には刈り取り後の稲の株が並ぶ田んぼが続く。ちょうど今季初の寒波が到来し、秋田は横殴りの雪だった。 秋田県大潟村で生産者の1人に尋ねた。「普段…

迷える子羊

「物事にさまざまな側面があるなんて当たり前。雑誌の特集はそれを1つの視点で切り取って作れ」。特集の担当になった時に先輩から言われた。それでも、大事な点が抜け落ちていたのではないかと思うことがある。 11月2日号「職場のうつ」特集もその1つ。…

子の泣き声が響く時に

同年代の友人達は次々と子を持つようになり、会う時は自宅にお邪魔することが多い。 先日も友人が夕飯の支度をするかたわらで子ども達と遊んでいると、ぐずりだした2歳の女の子がどうにも泣き止まない。彼女が「眠いのね。寝かしつけるわ」とおぶっても激し…

メール>電話?

原稿執筆や取材をお願いするという仕事の性格上、日々、面識のない方に連絡をとる機会が多い。その時にどのような手段を使うのかは、なかなか悩ましい。 社会人になって9年。環境によって違うのかもしれないが、当初は「いきなり電子メールで連絡するのは失…

“つぶやき”の対極に

フレッシュマンが街にあふれる4月。9年前、就職が決まらないまま大学を卒業し、リクルートスーツを着ていたことを思い出す。 前年の秋、父に「家業を手伝ってもいいか」と泣きついた。ほどなく手紙が届いた。家業を継いでからの苦闘と「やりたいことを追い…

山里からの便り

毎日、家に辿り着いてポストを開けるとチラシにダイレクトメールばかりだから、たまに交じる私信はうれしい。先日、かつて勤務していた四国・徳島の山深い地から2通の封書が届いた。どちらの名も平成の大合併で変わったが、以前の村の方がしっくりくる。 1…

物語の力

弊誌はもとより、経済の記事では、主語が「日本は」「米国経済は」と国だったり、企業名だったり、あるいは「GDPが」などと経済指標であったりすることが多い。 当たり前だが、それぞれの主語に意思はない。組織は個々の人間の集まりだし、指標は行動の結…

コウノトリは後から来て

いつのまにか周りの友人に父・母が増えた。31歳既婚。最近はセクハラだとかで、子どもはどうするの?との質問には、同席する人からNGが出るのが常だが、取材で人に根掘り葉掘り尋ねてきて、自身のプライバシー云々は言い難い(はぐらかすことはあるが)…

笑って泣ける芝居

かつて福岡に住んでいたのに、なぜ観なかったんだろう。昨年、福岡を訪れて初めて観た「かぶりもの劇団『ギンギラ太陽’s』」の舞台に、惹きつけられた。 演劇の題材は福岡の地元ネタばかり。繁華街・天神のデパートたちの栄枯盛衰に、地元の銘菓「ひよ子」…

今の名前で出ています

編集部に入って、同時に「黒崎」の名を使い始めて、もうじき1年になる。 前の職場にいた時に結婚し、何も考えず旧姓(川口)のままでいたが、辞めて迷った。なぜか履歴書は戸籍名でないといけないように思った。働き出す時に改めて考えようと。 だが、採用…

玉虫色とはどんな色

2月3日号の「問答有用」でインタビューした宮本博司さん。国土交通省淀川河川事務所長として住民参加の河川整備を目指し、退職後は淀川水系流域委員会の委員を務める。「自分が正しいと思い込むのは苦しい。なるほどと思ったら修正するほうが、よっぽど自…

笑って泣ける芝居

かつて福岡に住んでいたのに、なぜ観なかったんだろう。昨年、福岡を訪れて初めて観た「かぶりもの劇団『ギンギラ太陽’s』」の舞台に、惹きつけられた。 演劇の題材は福岡の地元ネタばかり。繁華街・天神のデパートたちの栄枯盛衰に、地元の銘菓「ひよ子」…

クリスマスの行列

例年この時期になると思い返すのが、佐賀にいた5年前の12月25日のことだ。 取材中に先方が「こんなところにいていいの?」と奥さんからの携帯メールを見せてくれた。ほどなくして先輩から電話。「大変なことになっている。早く戻って来い!」。 S銀行…

電車ひと模様

この間まで、佐賀、徳島と人口80万人規模の県で記者の仕事をしていた。通勤も取材も移動はクルマ。ラジオが友達だった。 東京では電車の移動が主だ。都会には情報があふれているというが、電車の中も例外ではない。乗客の様子、とりわけ何を読んでいるのか…