街に流れる時間の結晶のような映画「小名木川物語」

映画って今流れている時間を閉じ込めることができるんだなと思った。 「小名木川物語」は、今この街に流れている時間の結晶のような映画。 今だけじゃない。これまで流れてきた時間も、記憶として織り込んでいた。 MOTサテライトといい、街が変わっていく…

子を育てながら働くということ

1つのテーマを3冊の本で考えていきたいと思います。 三位一体、のように、重なり合うところのある3冊の本。ちょっと前から、本を読むとあ、あの本とつながる、と思うことがよくあって、3冊目が見つからないことも多いのですが、数としてはやっぱり3だと…

ポスト・トゥルースとしてのナラティブ

POST-TRUTH(ポスト・トゥルース)という言葉を見かけるようになったのは昨年末。オックスフォード大が世界の2016年の言葉として選んだことがきっかけだった。客観的事実が重視されない、由々しき事態として捉えられることが多いように思う。 だけど、それも…

実感を話すということ

とっても久しぶりの投稿です。 あぁ綴りたいなぁということは日々あぶくのように現れては消えていくけれど、ようやく書く時は現実逃避気味という情けなさ。 誰も彼もがSNSをやっている世の中で、さまざまな物事にまつわる実感を聞くことは、それ以前より…

言葉を届けるということ

折々に目がとまった言葉を書き留めてゆきたいと思います。 ----------------------------------- そんな私に、こう言ってくれた人がいます。 どこの誰だかわからない人に向けて、くりかえし言葉を変え、言い方を変えて、伝えようとし続けるのが物書きの性で…

最期の日々に

実家の片づけという言葉は2014年の隠れ流行語大賞ではないかと思うほどよく見かけた。その文字を見るたび、そしてガランとした実家の一室に泊まるたび、胸がしめつけられる思いがする。 3年前に祖父が他界すると、父は猛然と遺品を処分した。それに留ま…

子育てにお役立ちのアナログ三種の神器

ちょっと一休みして小ネタ放出。埋め込みも試してみる。 戦後の「白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫」に始まり、高度成長期の「カラーテレビ、クーラー、クルマ」、そしてデジタル時代の「デジタルカメラ、DVDレコーダー、薄型テレビ」と時代ごとに“三種の神器”と…

11月15日 医薬分業

またまた間が空いてしまいました。引っ越したはてなブログでは、何日前の記事が表示されるのですが、70日前とあるのを見てびっくり、そんなに経ってしまったか・・・。年内に「父の病窓から」を完結させることはできず、年度内が最終リミットです。ほんとに…

11月14日 通院

街角の焙煎所で珈琲を手にぼんやりしていたら、学校帰りの小学生たちがガラスの向こうを歩いていく。新しいお客さんと入れ違いにごちそうさま、と通りに出たら、ミルで豆を挽いたのだろう、ふわっと香りが広がった。ワインのような、変わった豆だそうだ。焙…

11月11日 面会

11月11日 夫の父母が見舞いに来てくれた。あと1カ月だと言われて、誰に会っておいた方がいいのか考えなければならなかった。そうすると、やっぱり本人に聞いた方がいいのではないかという迷いに何度も戻った。 誰に会っておきたいんだろう。誰に会いたいん…

11月10日 店じまい

また、この季節が巡ってきた。昨年、父の最期の日々に傍にいたことを書き記そうとしたものの、緩和ケア病棟を退院したところでタイムオーバーになってしまった(年末のバタバタ&引っ越しのため)。その後も1歳までには、とか思っていたけれど、なんとなく…

母になってわかった10のこと(7〜番外)

その7.他人の目が気になるお腹にいる頃からだったと思う。やたらと人の目が気になるようになった。いや、人の目ではない。漠然とした、世間の目だ。生まれてきたら加速した。自分は母親として後ろ指を指されるようなことをしていないか。母がやるべきこと…

母になってわかった10のこと(4〜6)

その4.父は加点方式、母は減点方式内祝とともに送る葉書を用意していた時、夫が書き込んだコメントに目が留まった。その無邪気さに、隔たりを感じた最初の時だった。「パパ業がんばってます」。・・・私には「ママ業がんばってます」とはとても書けない。…

母になってわかった10のこと(1〜3)

子どもが生まれて早6ヶ月。子どもをめぐることは書かないようにしようかとも思ったけれど、今までとまったく違う自分の様子に驚くことしきりなので時々で備忘録を書き留めていた。整理して残しておこう。その1.痛いって辛い最初の1カ月半はズタボロだっ…

11月8日 退院

11月6日 木曜 緩和ケア病棟(のようなもの)を退院する入院してすぐは、父は衰弱しきっていたのが落ち着いたため、「入院してよかった」と口にしていたが、3日ほどして回復してくると「いつ出られるかな」などとつぶやくようになっていた。主治医の先生に…

11月6日 いのちのスープ

11月6日 火曜 辰巳芳子レシピの「いのちのスープ」を作ってみる。高機能の介護・病人食に驚きつつも、なんかそうではない方向で、滋味のあるものも口にさせたい・・・という思いが湧く。折しも、ほぼ日で連載中の読み物が料理家・辰巳芳子さんのいのちのス…

11月5日 高栄養飲料

11月5日 月曜 栄養士に高栄養飲料を勧められる。父は入院してからは3食、わずかながらも口にしていた。 全がゆととろみをつけたおかずというメニューで、食べてせいぜい2、3割というところ、あとは私がたいらげていたのだけど。この日、病室を訪れた栄養…

11月3日 iPad mini

11月3日 土曜 兄がiPad miniをプレゼントする。末期と言われて以降、週末のたびに帰省している兄が、発売されたばかりのiPad miniを持ってきた。wifiルーターを枕元のコンセントにさし、病室が無線LAN環境に。いいのかどうかは分からないけれど、勝手に…

11月2日 自己決定 

11月2日 自分の声が響くのが気になると耳鼻科へ。漢方を処方される。原因は痩せて、鼓膜の筋肉が薄くなっているためで、根本的に治すには太るしかないという。そして、症状を和らげるための漢方を出すことも出来ますが、どうしますか?と聞かれる。父はしば…

11月1日 病院選び

11月1日 木曜 父の誕生日なので花かごを持ってゆく。入院して初めて院内を散歩し、富士山を眺める。朝、近所の花屋さんに電話すると、「どこの病院ですか?」と聞かれる。 なんでも病院によっては花の差し入れは不可、だそう。 ぐぐってみると、院内感染の…

10月31日 延命治療

10月31日 水曜 主治医の先生から延命治療をしない方針に同意するよう求められる。夜、いつもより早く店を閉めて病院に来た母と、父の病室を抜け出した私とで、主治医の先生の話を聞く。示されたのは「病状説明と終末期診療の同意書」という書類。 苦痛が少な…

10月30日 緩和ケア

10月30日 火曜 前日は空きがなく特別室に入ったが、緩和ケア病棟(のようなもの)に移る。緩和ケア病棟では、手術や抗がん剤などの治療による回復が望めないがん患者に対し、痛みを取り除くことを主目的に心身両面からケアを提供される。ホスピス、と言った…

10月29日 余命

父との最期の日々を出産の前に綴っておこうと思ったけれど、かないませんでした。産後、子が寝たすきに書き進めていこう。ちょうど1年前の日々なので暦も重なり、去年の今ごろは、と思い巡らすこと多々でもある。 果たして完結するだろか…時系列+項目ごと…

10月22日 立場の逆転

昨年12月に父が他界した。62歳だった。 5年前にガンがわかり、10月に末期と告げられてから2か月後のことだった。病室で、そして自宅で父の傍で過ごした日々を綴っておこう。 時間が経って記憶は少し薄れてしまったけれど、時間が経ったから整理できるとこ…

永遠の楡の木

『週刊エコノミスト』2013年7月16日号の特集「仕組み債残酷物語2」で記事を書きました。冒頭こちら。特集:仕組み債残酷物語2 法廷で食い違う証言 2013年7月16日号 - 世界と日本でいま起きている経済事象の核心をあますことなく伝えます特集のメイ…

男子禁制のおはなし

男子禁制のおはなしといってもエッチ系でもメイクファッションでもなく、布ナプキンです。 1年半ほど前から布ナプキンを使い始めました。 一箱古本市に参加した会場の布ナプキン屋さんで、プリントのかわいさに惹かれた。古本市が終わった後、お店の人に洗…

必殺仕事人、医療を斬る

夫が好きなので毎回鑑賞している必殺仕事人。 日曜にやってた最新作はなかなか面白かった。 時代劇ながら、現代の医療問題に通じる要素が盛り込まれていて。 以下ネタバレ御免。録画してこれから観る方がもしいたらクローズしてください。 1) 江戸の街に辻…

ごはんが出来たよ

仕事でまる一日、先方のお宅にお邪魔していた時のこと。 昼時、話の途中で先方が「あっ銅鑼が鳴った。下に降りよう」という。 1階のダイニングではテーブルが整い、ちょうど奥様がドリアをオーブンから出すところだった。確かに小さな銅鑼(鉄の円盤)がぶ…

キンドルで本を買ってみた

人の家にお邪魔すると、まず本棚を眺めてしまう。悪趣味かな、と思う。 自分の本棚を客人が見るときも、ちょっと緊張する。本棚は頭のなかの履歴のようで。 内田樹センセイに言わせると、積ん読本も含めて、本棚は「こうありたい自分、こう見せたい自分」だ…

亡き祖父のこと

お盆なので、あるいは終戦記念日なので、5月に他界した祖父のことを書こうと思う。・・・と切り出したが、書き終わるまで2カ月が経ってしまった。享年89歳。一緒に住んだのは高校までの18年間だった。振り返ると思い浮かぶのは、お茶の粉だらけになった作業着…